Tuesday 16 February 2016

オデッセイは結構いい映画だった

先日、恋人が『オデッセイ』を観に行くというので、連れられて私も映画館に足を運んだ(以下ネタバレあり)。主演のマット・デイモンといえば私の中では『ボーン・アイデンティティ』の謎めいたマッチョ、ジェイソン・ボーンか、そうでなければ『ディパーテッド』の警官になったマフィアの回し者(『無間道』で言うところのアンディ・ラウ)の役柄が印象強く、そのほかの出演作があんまり思い出せない…。どっちもシリアスなアクションもので、何重にも裏がありそうないつ死んでもおかしくない役柄を演じてたので、火星で一人取り残されたとなってはもう、謎の宇宙生命体に遭遇して命からがら逃げ切ったかと思いきや食糧尽きて窒息か爆発で死ぬっていう悲劇の結末以外考えられそうになかった。実際はまったくもって違った。

誰かは、“希望にあふれた映画”だった、というかもしれない。分からんでもない。それは単に、最先端の科学技術が結集された宇宙開発の現在をリアルに目の当たりにしたからだけではない。むしろ、科学技術などもはやアテにできないような絶体絶命の状況下で、生きぬくことを諦めずに生きぬいた人間の並外れた精神力と知力を見せつけられたからだ。主人公ワトニーが自叙伝を書くなら、その本の中にはどこかに必ずこう書かれているはず。

「今自分がどんな状況に置かれていて、どんな問題があって、どうやってそれを解決するのか、自分の頭だけで考えることだ」

まあでも、希望がどうのこうのというのはちょいと美化しすぎなようで、首のあたりがこそばゆくなる。ただ、なにがあっても最後に生き残れるのは、冷静な判断力と現実を笑い飛ばせるユーモアを兼ね備えた人間なんだと言うことがよくわかった。あと植物学の知識はあった方がいい。ちなみに恋人は開始15分で泣いたらしい、どんなお涙頂戴映画を観ても涙ひとつこぼさないのに。私はというと、後半で中国の宇宙開発局(中国国家航天局)が出てきてNASAに救いの手を差し伸べるあたりから、アメリカと中国が仲良く手を結んで宇宙飛行士を、いや全世界、全宇宙を救う!みたいなアメリカにとっての理想像がにじみ出ちゃっている気がして、「上手に世相を反映させてんな」としか考えられなくなっていました。いや、いい映画でしたよ。火星でも生き残れるように、まずはじゃがいもの栽培からかな。

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