サービス残業で上司にこき使われ、恋人との関係もなんだかうまくいっていない様子の主人公が、あのころの自分が今の自分を見たら…なんてことを考えて、学生時代のことを思い返すところから物語が始まる。主人公の林真心が女子高校生だったころ。友達と好きなアイドル、スターの話をしては盛り上がり、旦那様だ王子様だなんだと言っては胸をときめかせていた。彼女もそういう“恋する乙女”のひとりで、香港のスター、アンディ・ラウの大ファンだった。実は校内にも憧れの王子様がいる林真心は、ひょんなことからその王子様とは正反対のタイプの不良男子と友達になる。互いの恋路に協力することで意気投合した二人は、なんだかんだで意中の人に接近するのだが、だんだんそれぞれの心の中にある互いに対する特別な感情に気付き始めるのだった…
ってなわけでいわゆる青春モノですけれども、台湾映画はこういうのんがほんと得意だなーというか、むしろ『あの頃、君を追いかけた』に始まり昨今は一際そういう路線のものが多いような気がしている。たぶん台湾大衆からのウケがいいからだと思うけど。それで私もまたこういうのは嫌いじゃないので観てしまうし楽しめる。一番胸アツだったのは挿入歌に鳳飛飛の『追夢人』が流れたことで、ああ、やっぱこの曲が流れたとして、一定数の観客が青春時代を連想できるほどには、時代の代表作だったのだな、と感じた。もちろん最後に憧れの大スターが登場してしまうところも「まじかよ」と思ったし、監督の本気度が垣間見れた気がしてよかった。そこに至るまでの、青春時代のほろ苦い思い出もまた噛むほどに味が出るような切なさがあってよい。観終わって何が得られるわけでもないが、こういうのがないと、台湾映画は楽しくないな、と思う。
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